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    2. 2.笑う門には福来たる
    3. 3.藪医者と藪患者
    4. 4痛いの痛いのとんでゆけ
    5. 5.野の百合を見よ
    6. 6.インフルエンザのはなし
    7. 7.つるかめ算
    8. 8.おっぱいのはなし
    9. 9.三種の神器
    10. 10.たばこのはなし
    11. 11.バイキンマンとドキンちゃん
    12. 12.健康診断のすすめ
    13. 13.理冴(りこ)語辞典
    14. 14.やぶやぶカルタ
    15. 15.男と女と女医
    16. 16.ひとのつくったもの
    17. 17.プラセボ
    18. 18.リクエスト特集
    19. 19.悲しいはなし
    20. 20.医食同源
    21. 21>名探偵コナン
    22. 22.涙について
    23. 23.恩師のこと
    24. 24.おかあさん
    25. 25.教育について
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    27. 27.スーパースター
    28. 28.幸せの定義
    29. 29.バドミントンのはなし
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    33. 33.お塩のはなし
    34. 34.かっこいい人
    35. 35.予防接種について
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    37. 37.くさいものにふた?
    38. 38.へぇーボタン
    39. 39.多数決でいいの?
    40. 40.認知症考
    41. 41.反省だけなら
    42. 43.手洗いうがい歯磨き入浴
    43. 44.インフルエンザ豆知識
    44. 45.SOS
    45. 46.おしっこのはなし
    46. 47.メタボリック症候群
院長のエッセイという名のこぼればなし
開院当時から院内で公開してきたエッセイです。
通常の診察では伝えきれない、日常の健康に関するお話、
母として感じたあれこれを紹介いたします。

05.野の百合を見よ

今日は私の名前の謂れについて少しお話します。
名前はみんなそれぞれ、その子にこうあってほしい。こんな風に育ってほしいという、願いをこめ、もしくは呼びやすい、おぼえやすい、反対に、めずらしい、忘れにくい、そういう思いをこめて、名づけます。
私は私の名前が大好きです。私の祖父母も父母もクリスチャンで、私の名前は聖書の中からとってもらいました。父の好きな聖書の箇所です。「野の百合はいかに育つかを思へ、労せず、紡がざるなり。されど、われ汝らにつぐ、栄華を極めたる、ソロモンだに、その装いこの花のひとつにしかざりき」現代語の聖書では野の百合が、野の花になっているのですが、文語体の聖書では上記のようにしるされており、明日は炉に投げいれられるのに神様はその一日美しくあるように、花に心をかけてくれているということです。「だから、何を着ようか、何を食べようか、明日のことで思いわずらうな」と続きます。聖書のこの箇所を読んだあと、明日、何を着ようかと、悩む自分に矛盾を感じてしまいます。父母は、私に野百合という名をつけて、こんなお転婆な女医さんになることを願ったのかはさだかではありませんが、この名に恥じずにこの私の一生をがんばって生きたいと思います。
悲しいのは、野百合という名前が、珍しいために、姓名をちゃんと記載してもらえないことが多いことです。木築野百合さんという間違いが多いです。(よりによって開院の日に名前を間違えて、祝電をくれた薬屋さんには、出入り禁止を言い渡しました。後日出入り禁止は解除しましたけど)築野百合子さんと書かれたこともあります。木築小百合さんということもありました。
小さな百合ではなく、野の百合なのです。野は野原の野なのですが、ひとによっては、野生の野とか、野蛮の野とか言う人もいます。
「やゆり」ではなくて、「のゆり」なので、野生や野蛮は読み方が違うのですが、わたしの性格が野生的だと思える人は、野生の野と思うのでしょう。百合の花には山百合もあれば、ささ百合もあります。鉄砲百合、鬼百合という怖い言葉が、前につく百合もあります。私は無鉄砲なところもあって、強いときもありますが、鬼ではないと思います。植物辞典に日本名の野百合はないようですが、面白い話があります。

百合の花

私のマスコット誕生秘話

私の母は「子供たちは言うことを聞かなくなったけど、植物は愛情を注いだ分ちゃんと言うことを聞いてくれるからかわいいわ。」といいながら、庭にいろいろ植えて、楽しんでいました。裏山にいって、見つけた植物が何というのかを調べるために植物辞典を買って、まるで小説を読みふけっているかのように、植物辞典にのめりこんでいる日もありました。ある日、植物辞典を開いて、大笑いをして、私を呼びました。植物辞典で、大笑いをする箇所があるのか不思議で、もしかして、母は神経を病んでしまったかと、心配して、のぞいてみました。その、ページには「たぬきまめ」という植物が載っていました。 植物辞典の記載は面白くもなく、「マメ科の…年生植物で、茎は、なんとか、葉はなんとか……学名なんとか……」と続いていました。「もっとよーくみてごらんよ。」母は少し、意地悪そうに笑いました。「オランダ名……」「中国名……」えー……!!!
私は中国でいうなら、たぬきまめだったのか…母が笑うはずです。わたしが、もしそれこそ白百合のごとく、すらっと長身で細身であれば、別ですが、丸顔、ころっとした体型、しかもおチビさんときたら、まめたぬきとあだ名されても仕方ないわけです。残念ながら、いままで、たぬきのニックネームをもらったことはなかったのですが、(動物では豚をつかわれたことがありましたが…)これは、そうだ。自分のペンネームを「たぬきまめ」にするしかないなと、覚悟をきめました。たぬきまめはあくまで、まめで、植物であると、主張するのですが、みなは豆狸:ちっちゃい動物のたぬき、と認識するようです。そして、大学に入学し、大学の裏のほうをドライブしたときに、狸の大群(信楽焼きの里)に出くわして、私のマスコットは、狸に決定してしまいました。
私のクリニックには信楽焼きの女医さんの狸がいます。(親友が私のために特注して、プレゼントしてくれたものです)患者さん(親子連れ)がタヌキの先生と呼んでくれるようになりました。でもここにタヌキがいる、ふかーい意味はあまり知られていませんでした。今日皆さんんにこうして明かしたわけです。

息子のゆうちゃんは…

「悠斗」というなまえです。悠の字は広々とした、野原の野と同じような、意味を持つ漢字だそうです。百合はそのまま読むと100ゴウです。10合が1升,10升が1斗つまり100合=1斗というわけです。私の名前をいいかえたのが、息子の名前です。斗ははかりを意味し、物事を計画だてて、実行できるように、の意味をこめました。もちろん悠の字で、心の広い、スケールの大きな男になってほしいという願いを加えました。
妹の「りこ」はおにいちゃんが名付け親です。まだ小学校にあがる前のゆうちゃんが「赤ちゃんの名前はりこかりんがいい」といいだして、「でもゆうちゃん、んをうまくかけないから、りこにする。」ということで、別名たてたて、よこよこの、りこちゃんになりました。漢字は母親(わたし)が、いろいろ考え、ひねって「理冴」にしました。こを子にしなかったのは、自分が子がつかない個性的ななまえで、いろいろ困ったこともありましたが、反対に変わった名前であることが、自分であること、他にない自分の名前が好きのなので、娘にもほかにない名前をつけてやりたかったのです。意味は理知的で、頭が、冴え渡った賢い女性であってほしいという、祈りを添えました。

人を尊重する気持ち

「以前、デイケアのかかわりで高齢のかたがたとふれあい、お世話する中で、年間目標に『名前を大切にする』という のをあげたことがあります。
「おじいちゃん」「おばあちゃん」という呼び名で済ませてしまわず、「やいちろうさん」「すえさん」と名前を呼びましょうというものです。そのためにはお一人お一人のお名前を覚えていることが、前提になります。そうすることで、一人一人の人格、個性、を認め、尊重する気持ちが呼び覚まされるだろう期待と、呼ばれるおじいさん、おばあさん側も自分が呼ばれていると自覚でき、いろいろな場面で、自信と積極性を少しでも引き出せたら、と考えました。病院や診療所では名前をはっきりさせない場面が時々見られます。それは病名だったり、薬の名前だったり、先生の名前を患者さんがはっきり知らなかったり、よくない例では、患者さんの名前を確認せずに処置や投薬がまちがえられたり、それは決してよいことではありません。
もっともっとみんなが、名前を大事にするといいのでしょうね。病名もちゃんと教えてあげて、薬の名前も説明し、もちろん患者さんの方も聞きなれない覚えにくい名前でも、自分ののんでいるお薬は名前を覚えるように努力されるのがいいでしょう。
特に、アレルギーを起こした薬であるとか、継続してのんでいかねばならない薬とかは、きちんと覚えておかれることをお勧めします。名前が違っても、同じ成分の薬であったり、よく似た名前なのにまったく違うお薬だったりしますが、すべての薬をおぼえるわけではないので、次からこころがけてみてください。最近は薬剤情報提供といって、薬の名前、効用、副作用など、紙に書いたものを渡してくれるところが増えています。名患者になって、ほかの病院で配合禁忌(一緒にのんではいけない組み合わせ)やアレルギーの既往の薬をもらわないためにもなるべく自分の関わりのある薬は名前を覚えましょう。
医者も看護婦(師)も患者さんの名前を大事に呼ぶようにして、決して、ほかの人と取り違えことのないように、一人一人の患者さん、薬、病名、あらゆる名前を大事にしていけたらと思います。
野の百合はかれんな花と私は認識しています。また、機会があればタヌキマメをみつけてください。

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