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    44. 45.SOS
    45. 46.おしっこのはなし
    46. 47.メタボリック症候群
院長のエッセイという名のこぼればなし
開院当時から院内で公開してきたエッセイです。
通常の診察では伝えきれない、日常の健康に関するお話、
母として感じたあれこれを紹介いたします。

13.理冴(りこ)語辞典

以前に子供のおもしろネタを書き留めて、笑いの源、がんばるパワーにつなげている話を書きました。悠斗物語として小ネタ集をコンピューターにストックしています。
ところが、実際息子が成長し、字が読め、人間の(日本人の)使う言葉をほぼ完璧に理解できるようになってしまうと、言葉の言い間違いや、表現間違いが少なく、ネタ帳のストックはなかなか増えなくなりました。今度は、娘が、3歳になって、耳で聞いてまねして一生懸命お話するようになって、ネタをふやしてくれています。なかには前後の脈絡から推し量らなければわからない難しい言語もあり、息子と「辞書を作ろう」という話になりました。
実は辞書をつくりだしてから、また、その間にも、娘は成長しているので、現在は使わなくなった表現や言い回しもでてきて、おもしろネタ帳を作っている側にしてみれば、残念な限りなのですが、娘の成長を見守る母親の立場では、よろこばしいことです。
さてクイズです。次のことばは、何を意味するでしょうか、答えは後に記載します。

  1. 1.「りこのてこぶるぶるはどこ?」(ヒント、冬の寒い日の朝の会話)
  2. 2.「青はむすめ、赤はとらめ」(ヒント、車の中での会話)
  3. 3.「かんやさんはもういないの?」(ヒント、診療終了後のぞきにきて)
  4. 4.「ママはおしとこがんばってね。」(ヒント、朝、託児所の前で)
  5. 5.「りこがぽんきゅーたー でゲームしゅる。」(ヒント、おにいちゃんと争奪戦)

その他にもお薬を「おすくり」クリスマスを「くりみます」肩車を「たかまーく」お洋服を「おうふく」すべり台を「すべらーり」シートベルトを「しーぷれると」などと呼びます。音が似ているので、何となくわかるものもありますし、たかまーくなどは、高い高いと関連して、気持ちがよくわかります。
我が家でなければわからない特殊用語を少しご披露しますと、「ねんしょうけいして!」とねだられたら、理冴を宙に放り投げながら"燃焼系、燃焼系 アーミノしき♪ " と歌わねばならないのです。理冴は着地したら「さんとりぃ」と両手を広げてポーズをとってくれます。
「おなかすいた、あせかいた。」と理冴がベッドで言うときは、のどが渇いて、何かをのみたい、もっと正直にいえば、おっぱいがほしいということなのです。
でも「おねえちゃんになった」(三歳になっておっぱいをやめたこと)はずの理冴としては、「おっぱいちょうだい。」とはいえないのでしょう。ママも その言葉の意味する深い深いところをわかっていて、「もう、ねんねして、あした、なにかおいしいのたべようね、」と返答します。それでも理冴の「おなかすいた」攻撃に屈したときは、「おっぱいさわっていいよ」とおっぱいの感触を提供します。さもなくば、「これ」攻撃(この本読んで)で、本棚から、次々と絵本をもってこられ、こちらの睡眠を妨げられてしまいます。おっぱいを提供している分にはこっちは目を閉じることができるので、たまには、おっぱい作戦で応戦するのです。大好きな絵本は「シンデラ」と人魚姫の「アリル」(アリエル)です。 英語の絵本もあるのですが、なぜか、「英語でおんで」とねだるときもあり、そのときは本人がわかっていないことをいいことに、何行分もすっ飛ばして、急いで読みます。 本人はとても満足げに英語の脈絡のないストーリィに耳をかたむけています。
英語といえば、先日、先輩の病院の外来をお手伝いにいっていたときのことです。カタカナ名前の患者さんがきて、はいってくるなり、英語で質問され、たじたじになったことがありました。医学英語で説明しようとしても、英会話のなかに、医者が使う病名はそのままでは応用されないのです。そういえば日本語でも「おたふくかぜ」といえば、みなさんご存じですが、「流行性耳下腺炎」といっても、ましてや「ムンプスウィルス」といってもわからないですものね。医学部で、一般患者さん用の病名英語を習っていないのでほんとに苦労しました。
手振り身振りで説明できることでもないので、自分の英語力は実は(手振り身振りと表情の良さが決め手だったことを再認識しました。)

英語を話す男性

医者が使う外国語

医者になって、いろいろ言葉をおぼえましたが、医者が使うことばは、英語、ドイツ語、ラテン語、それに日本語の入り乱れたものになっています。(人の名前のついたものや、造語、略語)だから、辞書はたくさんいりますし、応用力で理解しなければならないことが多いです。 先輩先生が書いているカルテの書き方をみて、なるほどこういう風にかくんだなっと覚えていくのですが、”前回do”というカルテ記載がはじめのうちわからなくて悩みました。なんで、ここで助動詞のdo(ドゥ)がつかわれるのか、処方するという行為を助動詞で指示しているのか、でもどう見ても内容を示しているし…この疑問にちゃんと答えてくれる先輩先生がいました。「このdoは英語ではなくて、日本語の『同』をローマ字でかいたものなんだよ」ということでした。同上などの表現とおなじで、前回の処方内容と「同じ」というdo(どう)なんだよということでした。(目からうろこ 辞書にのってないはずです。)ここで、医者の世界で、つかわれる、用語を少し解説しておきましょう。
【アナムネ】:ドイツ語のアナムネーゼという言葉から来ていますが、既往歴や病歴と訳されます。「アナムネをとる」という具合に日本語にまじって、患者さんのこれまでの病歴などを聞くときにこの言葉をつかいます。
【ムンテラ】:これもドイツ語で、ムント(くち)テラピー(治療)を略したもので、患者さんにしっかり説明をするときに「ムンテラする」という動詞にして使います。病院勤務の外科医だったころ、手術をする患者さんとその家族の方に手術のことについて、説明をする時間は、最低1時間はさいて、ムンテラするようにしていました。 看護婦さんのなかには、先生のムンテラはわかりやすくていいねといってくれる人がいました。(でも実際私の説明をきいて、本当にわかってくれているかは患者さんに直接きくしかないのですが…)
このムンテラが不十分だったため、財前教授(唐沢君)は 裁判で敗訴したわけです。我々医者のおおかたは患者さんの命を救いたいという使命感で、癌と闘い、そのために、メスをもち、何時間も立ちっぱなしで、食事もとらず、トイレにもいかず、緊張のなかで、手術という手段で闘うのです。だれも、患者さんの命を落とそうとは思っていないのです。しかし、結果患者さんの命が、予想よりも早く、終焉をむかえることもあり、手術をしなかった方がよかったのではと思える結果になることは確かにあります。手術という治療だけでなく、口をつかってするムンテラが患者さんやその家族の病気に対する理解と病気と闘う思いを主治医と同方向にするためにいかに大切かということをあのドラマ (白い巨塔)でもいいたかったのだろうと思います。
外科医は手と足が動けばいいんだ、頭はいらん、首から下の丈夫なやつが外科医にむく。といった先輩がいました。(内科医は頭が必要らしいです。)でも本当は首から下ではなくて、口から下が必要なのです。ムンテラもしなければならないから。
【インフォームドコンセント】:英語で「説明と同意」の意味ですが、米国から、医療裁判や医師の責任についての考え方が導入されてきた中で、日本になかった習慣や考えは外国語のまま入ってくるのですが、この言葉自体、かたかなで、なんのことかわからない人が多いでしょう。
つまりは、しっかり説明して、患者さんにわかってもらうこと、です。これが、医師の裁判での自分の立場を守るためのものとの考え方がありますが、本当は患者さんと医者が敵対するのでなく、両者が協力し、病気という敵と、戦うための同盟確認であるべきとわたしは、思います。

先ほどのクイズ(理冴語)の答えは…

さて、理冴語の答えです。
1「理冴の手袋はどこ?」
2「青は進め、赤は止まれ」
3「患者さんはもういらしゃらないの?」
4「ママはお仕事頑張ってね。」
5「理冴がコンピューターでゲームしたい!」
何問正解できましたでしょう。もし、よそで、難しい言葉をきいて、そのとき先生に確認できてなかったために、気になっている人は、私にきいてみてください。(わかることばは通訳します)でも、よその赤ちゃんのことばはむりですので、あしからず。

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